警視庁への証拠保全、決行

 2月23日(金)15時、東京地裁民事31部の「決定」に基づく証拠保全手続として、裁判長らと共に原告弁護団が証拠調べの為に警視庁に「立ち入り」ました。警視庁が証拠保全の対象となるのは極めて異例です。
 
 2016年9月の全学連大会における警視庁の公安刑事らによる学生たちに対する集団暴行事件。学生たちが原告となり国家賠償等損害賠償請求訴訟(民事)を提訴し、また、特別公務員暴行陵虐罪で告訴(刑事)しています( 2016/11 )。  
 警視庁の公安刑事による集会妨害は過去にも何度もあったので、学生側もビデオカメラ等を用意し、刑事らの暴行行為を動画で記録していました。
 その学生側が撮った画像に、公安刑事らの暴行行為と共にビデオカメラを回している様子が映っていました。
 
 損害賠償請求訴訟(民事)は昨年から始まっていますが、原告側から事実を客観的に明らかにするため、被告側に対し、その公安刑事が撮った動画の提出を求めました。警視庁や刑事側にとっても自己の主張の根拠を明らかにするために自分たちで撮った動画を裁判に証拠として提出すればいいはずです。
 
 しかし被告側は、この動画記録(データ)は「あるけど出さない」の一点張り。このため、私たちは議論の末、証拠保全の申し立てを昨年9月に行いました。
 
裁判所は、 あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情があると認めるとき は、申立てにより、この章の規定に従い、証拠調べをすることができる(民事訴訟法234条)
 
 この間、この証拠保全を巡って弁護団は裁判所と頻繁に折衝を行いました。さすがに裁判所も権力の中枢である警視庁に証拠保全を行うことに躊躇があったのだと思います。それでも、弁護団の熱意と工夫により、ようやく本年になり2月21日付で裁判所も正式に「決定」を出したのです。
 
 この裁判所の証拠保全の決定の意義は極めて大きいものです。つまり、裁判所は、本件において警視庁公安部が保管しているとされる「動画記録」が証拠保全をしておかなければ「使用することが困難となる事情がある」と認めた、つまりは罪証隠滅のおそれがあると判断したということです。
 
 裁判所のこの「決定」は、証拠保全の実施の1時間前に警視庁に執行官により送達されました。あっという間に、被告側の代理人が警視庁に駆け付けて、この決定に基づく証拠調べ手続きを「拒否」。民事の手続きなので、裁判所も強制はできない、ということで「検証不能」で手続きは約15分で終了しました。
 
 この暴挙は、あっという間にマスコミで報道されました。一昨年、刑事司法改悪により盗聴範囲が拡大し、昨年、共謀罪法が成立した現在の警視庁の隠蔽体質に世の中の目が注がれることになりました。公安刑事の集団的暴行という身内の違法行為・犯罪をかばう姿勢と疑わざるを得ないのではないでしょうか。
 
 戦時中の治安維持法下でも、拷問、でっち上げ、虚偽の自白による有罪認定などのデタラメが横行したことは、事実です。しかし、国はいまだ当時の「拷問」についても公式には認めていません。
 
 昔の話で今は違う・・・というのは、ただの「希望」ないしは「憶測」、もしくは、「忖度」であって、根拠はないでしょう。現実としては、警視庁は裁判所の公式な決定として証拠保全すら応じません。これが、2018年の現実です。過去のことではありません。
 
 21世紀の今、私たちは、一方的に情報を権力に握られ、それは私たちはアクセスすることはできません。とりわけ、権力側に都合の悪い暴力的な事実こそ隠蔽されます。
 
 今回、メディアも「裁判所が警視庁に立ち入り」という点を殊更に強調し、勝利的に報道しています。その背景にはやはり今の権力の身内庇いの隠蔽体質への怒りがあると思います。
 今回、証拠保全は「検証不能」という結果でした、若手弁護士の力も結集する私たち弁護団は諦めません。人々の怒りに火をつけるため、さらに諦めない闘いを続けます。
 
 許しがたいことです。この事実を広く暴露する必要があります。(森川文人弁護士)

NHKの報道

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